整骨院経営 2026年1月9日

整骨院の廃業率は?倒産の原因と生き残る対策を解説

「整骨院は廃業率が高い」「開業しても半数は5年以内に閉院する」——このような話を耳にして、開業をためらっている柔道整復師の方も多いのではないでしょうか。

確かに、整骨院を取り巻く経営環境は厳しさを増しています。競合の増加、保険請求の厳格化、患者の獲得競争など、開業すれば成功できた時代は過去のものとなりました。

しかし、廃業する整骨院には共通するパターンがあり、それを理解して対策を講じることで、生き残りの確率を大きく高めることができます。

本記事では、整骨院の廃業率の実態から、廃業に至る原因、そして生き残るための具体的な対策まで詳しく解説します。これから開業を考えている方、現在の経営に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。


整骨院の廃業率と業界の実態

まずは、整骨院の廃業率と業界の現状について、データをもとに確認していきましょう。

正確な廃業率データはないが倒産件数は上昇傾向

整骨院(柔道整復施術所)の正確な廃業率を示す公的な統計データは存在しません。厚生労働省が公表しているのは施術所の総数であり、廃業した件数や廃業率は集計されていないのが現状です。

しかし、民間の信用調査会社のデータからは、整骨院を含む「接骨院・整骨院・整体」の倒産件数が増加傾向にあることがわかります。

帝国データバンクや東京商工リサーチの調査によると、この業種の倒産件数は年々増加しており、過去最多を更新する年も出てきています。

背景には、施術所の過当競争、保険収入の減少、物価高騰による経費増加など、複合的な要因があります。

1年間の倒産件数の推移

整骨院を含む治療院業界の倒産件数は、ここ数年で大きく増加しています。

東京商工リサーチの調査によると、2023年の「マッサージ業、接骨院等」の倒産件数は過去最多を記録しました。2019年と比較すると、倒産件数は約1.5倍〜2倍近くに増加しています。

倒産件数増加の要因としては、コロナ禍での患者減少からの回復遅れ、ゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)の返済開始、物価高騰による経費増、競合激化による売上減少などが挙げられます。

特に、コロナ禍で受けた融資の返済が始まったことで、資金繰りが行き詰まるケースが増えています。

危険なのは開業後3〜5年?生存率の目安

整骨院に限らず、中小企業全般において「開業から3年以内に約3割、5年以内に約5割が廃業する」というデータがあります。整骨院もこの傾向に当てはまると考えられています。

特に危険なのは、開業後3〜5年目といわれています。この時期は、開業時の融資の返済が本格化する一方、当初の勢いが落ち着いて売上が伸び悩むケースが多いためです。

開業1〜2年目は、開業時の資金や勢いで乗り切れることが多いですが、3年目以降は真の経営力が問われます。この時期を乗り越えられるかどうかが、長期的な生存の分かれ目となります。

逆に言えば、開業前にしっかりと準備をし、開業後も継続的に経営改善に取り組むことで、この「危険な時期」を乗り越える確率を高めることができます。

倒産だけではない「隠れ廃業」のリスク

統計に表れる「倒産」は、法的な手続き(破産、民事再生など)を経たケースのみです。実際には、倒産には至らないものの、経営が立ち行かなくなって自主的に閉院する「隠れ廃業」も多数存在します。

隠れ廃業のパターンとしては、赤字が続き資金が底をついて閉院、売上が伸びず生活できないため廃業して就職、体力的・精神的に続けられなくなって閉院、別の事業に転換するため閉院などがあります。

これらは統計に表れないため、実際の廃業数は公表されている倒産件数よりもはるかに多いと考えられます。

「倒産していないから大丈夫」ではなく、赤字経営が続いている時点で危険信号と捉えるべきです。


整骨院が廃業する5つの原因

整骨院が廃業に至る原因を理解することで、同じ失敗を避けることができます。主な原因を見ていきましょう。

競合の増加による競争激化

整骨院業界の最大の課題は、競合の増加による過当競争です。

厚生労働省の統計によると、柔道整復施術所の数は全国で5万件以上あり、コンビニエンスストアの店舗数に匹敵します。毎年、柔道整復師の養成校から多くの資格取得者が輩出され、その一部が開業するため、競合は増え続けています。

競合が増えれば、患者の取り合いになります。「近くにあるから」という理由だけでは選ばれなくなり、何らかの強みや特徴がなければ集客に苦戦します。

価格競争に陥ると、売上は維持できても利益が減少し、経営が行き詰まるリスクが高まります。

療養費(保険請求)審査の厳格化

かつて整骨院の主な収入源だった保険施術が、年々厳しくなっています。

保険請求の審査が厳格化され、以前は認められていた施術でも保険適用が認められないケースが増えています。負傷原因の明確化、施術部位数の制限、長期施術への審査強化などが進み、不正請求への監視も強まっています。

保険収入の減少は、直接的に売上の減少につながります。保険施術だけに依存した経営モデルでは、収入が先細りしていくリスクがあります。

この流れは今後も続くと予想されており、自費施術への移行は避けられない課題となっています。

ターゲット・コンセプトが不明確

「何でもやります」「どなたでも歓迎」というスタンスの整骨院は、結局誰にも選ばれません。

ターゲットやコンセプトが不明確だと、広告を出しても誰に響いているかわからない、患者が「この院に行く理由」を見つけられない、競合と差別化できず価格競争に巻き込まれる、口コミが広がりにくいといった問題が起こります。

競合が多い市場では、「〇〇専門」「〇〇に強い」という明確なポジショニングがなければ、存在感を示すことが難しくなっています。

立地・物件選びの失敗

廃業する整骨院に共通する失敗の一つが、立地選びのミスです。

家賃を抑えることだけを優先して、人通りの少ない場所や、視認性の悪い2階以上の物件を選んでしまうケースがあります。確かに家賃は安くなりますが、集客に苦労し、結果的に売上が伸び悩みます。

また、駐車場がない立地を選んでしまい、車社会の地域で患者が来院しにくくなっているケースもあります。

立地の失敗は、開業後に取り返すことが困難です。家賃が高くても、集客しやすい立地を選んだ方が、結果的に収益が上がることも多いのです。

集客ができていない

どんなに良い施術を提供しても、患者が来なければ経営は成り立ちません。

廃業する整骨院の多くは、集客活動に消極的です。「良い施術をしていれば口コミで広がる」と考え、広告宣伝に投資しません。ホームページがない、Googleビジネスプロフィールを活用していない、SNSを使っていないという院も少なくありません。

現代の患者は、インターネットで整骨院を検索して比較検討します。Web上で存在感がなければ、選択肢にすら入らないのです。

集客活動を「コスト」ではなく「投資」と捉え、継続的に取り組む姿勢が必要です。

初期費用・運転資金の問題

開業時の資金計画の甘さも、廃業の大きな原因です。

初期費用に予算を使いすぎて運転資金が不足する、売上の立ち上がりを楽観視しすぎて資金がショートする、借入金の返済計画が非現実的といったケースがあります。

開業後すぐに黒字化できる整骨院は少数派です。軌道に乗るまで6ヶ月〜1年かかることも珍しくありません。その間を乗り切るための運転資金がなければ、黒字化する前に廃業に追い込まれます。

「売上が計画の50〜70%でも運営できる」余裕を持った資金計画が必要です。


よくある整骨院の廃業事例パターン

実際の廃業事例に共通するパターンを見てみましょう。これらを反面教師として、同じ失敗を避けてください。

立地選びを誤り集客できない

ある柔道整復師は、家賃を抑えるために、駅から徒歩15分、大通りから1本入った住宅街の1階テナントで開業しました。家賃は相場の半分程度で、内装や機器に予算を回すことができました。

しかし、開業後の集客は想定を大きく下回りました。看板を見て入ってくる飛び込み患者はほぼゼロ、Web集客を強化しても「遠くて通いにくい」という理由で離脱されてしまいます。

チラシをまいても反応が薄く、1年が経過しても患者数は1日5人程度。赤字が続き、2年目で閉院を決断しました。

教訓として、家賃の安さだけで立地を決めてはいけないことがわかります。家賃が高くても、人通りが多く視認性の高い場所の方が、結果的に収益につながります。

保険依存から脱却できずジリ貧に

開業10年目のベテラン院長は、長年保険施術を中心に経営してきました。ピーク時は月商150万円を超え、安定した経営を続けていました。

しかし、保険請求の厳格化が進むにつれ、売上は徐々に減少。自費施術の導入を検討するも、「患者が離れるのでは」という不安から踏み切れませんでした。

気づけば月商は80万円を切り、経費を差し引くと赤字に。従業員を解雇し、1人で運営するも改善せず、最終的に閉院しました。

教訓として、保険依存からの脱却は、余裕のあるうちに進めるべきです。追い詰められてからでは、新しいことに挑戦する余力がなくなります。

過大な初期投資で運転資金がショートする

開業時に「最高の環境を整えたい」と考え、内装工事に800万円、最新の治療機器に500万円、合計1,500万円以上を初期投資に費やした院長がいました。

開業後の反応は良く、患者数も順調に伸びていました。しかし、開業資金の大半を初期投資に使ったため、運転資金が不足。売上が安定する前に資金が底をつきました。

追加融資を申し込むも、すでに借入が多いため審査が通らず、開業から1年で閉院。「もう少し運転資金があれば黒字化できたのに」という悔いが残りました。

教訓として、初期投資は必要最低限に抑え、運転資金を十分に確保することが重要です。最低でも6ヶ月分、できれば1年分の運転資金を確保しましょう。

顧客に合ったメニュー・接客を提供できない

スポーツトレーナーの経験を活かし、アスリート向けの整骨院を開業した院長がいました。最新のスポーツ医学に基づいた施術を提供し、技術には自信がありました。

しかし、開業した場所は高齢者が多い住宅街。来院する患者の大半は、慢性的な肩こりや腰痛に悩む60代以上の方々でした。

アスリート向けの説明や施術スタイルは、高齢の患者には合わず、「説明がわかりにくい」「若い人向けの院」という印象を持たれてしまいました。リピート率が上がらず、経営は苦戦。結局、コンセプトを変更するも遅く、3年目で閉院しました。

教訓として、ターゲットと立地のミスマッチは致命的です。開業前の商圏調査で、どのような患者層が多いかを把握し、それに合ったコンセプトを設計する必要があります。


整骨院が廃業せず生き残るための5つの対策

廃業の原因を踏まえ、生き残るための具体的な対策を解説します。

徹底的な商圏調査で勝てる立地を選ぶ

立地選びの失敗を防ぐためには、開業前の商圏調査が不可欠です。

商圏調査で確認すべき項目として、人口動態(商圏内の人口、年齢構成、世帯数)、ターゲット層の分布(自院のターゲットがどれだけいるか)、競合状況(整骨院の数、それぞれの特徴、口コミ評価)、交通・アクセス(駅からの距離、バス路線、駐車場の有無)、人通り・視認性(実際に現地を歩いて確認)があります。

データだけでなく、実際に候補地を訪れて、時間帯による人の流れや、周辺の雰囲気を確認することも重要です。

「家賃が安いから」という理由だけで立地を決めず、「この場所で集客できるか」を基準に判断しましょう。

自費移行を前提としたコンセプト設計・差別化

保険収入の減少が続く中、自費施術への移行は避けられない流れです。開業時から自費移行を前提としたコンセプト設計を行いましょう。

自費移行を成功させるポイントとして、明確なターゲット設定(誰のための院か)、専門性の打ち出し(何に強いか)、価値を伝える説明力(なぜこの施術が必要か)、適正な価格設定(安売りしない)があります。

「〇〇専門」「〇〇に強い」という差別化により、そのニーズを持つ患者が集まりやすくなります。また、専門性があれば価格競争に巻き込まれにくく、適正な単価を維持できます。

Web・SNSを活用した集客の仕組み化

現代の集客において、Webマーケティングは必須です。継続的に新規患者を獲得する仕組みを構築しましょう。

必ず取り組むべき施策として、Googleビジネスプロフィールの最適化(口コミ獲得、写真充実、投稿更新)、ホームページの作成・SEO対策(地域名+症状名で検索上位表示)、LINE公式アカウントの活用(予約受付、情報発信)があります。

余裕があれば取り組みたい施策として、Instagram運用(院の雰囲気、施術の様子を発信)、Web広告(Google広告、SNS広告)、ポータルサイトへの掲載があります。

集客活動は一度やって終わりではなく、継続的に行うことが重要です。売上の5〜10%程度を広告宣伝費として確保しましょう。

余裕を持った資金計画と数値管理

廃業の多くは、資金ショートが直接の原因です。余裕を持った資金計画と、日々の数値管理が重要です。

資金計画のポイントとして、運転資金は最低6ヶ月分、できれば1年分を確保、売上が計画の50〜70%でも運営できる計画を立てる、初期投資は必要最低限に抑えることがあります。

数値管理のポイントとして、毎月の売上・経費・利益を把握、患者数・客単価・リピート率を追跡、損益分岐点を明確にし、常に意識することがあります。

「なんとなく経営」ではなく、数字に基づいた意思決定を行うことで、早期に問題を発見し、対策を講じることができます。

リピーターを生む接遇・コミュニケーション力

新規患者の獲得と同様に、リピーターの確保も重要です。リピート率が低いと、常に新規集客にコストをかけ続けなければならず、経営が安定しません。

リピート率を高めるポイントとして、丁寧な問診と説明(患者の話をしっかり聞く)、施術効果の見える化(ビフォーアフター、経過説明)、次回予約の徹底(施術終了時に次回を確定)、フォローの仕組み化(来院が途絶えた患者への連絡)があります。

患者は「自分のことを大切にしてくれている」と感じると、継続して通院し、周囲にも紹介してくれます。技術だけでなく、接遇とコミュニケーションを大切にしましょう。


選ばれる整骨院になるために必要なこと

長期的に生き残るためには、患者から「選ばれる整骨院」になる必要があります。そのために必要なことを解説します。

相手のニーズを見極める観察眼

患者が本当に求めているものは何かを見極める力が重要です。

患者が訴える症状の背景には、様々なニーズが隠れています。「肩こりを治したい」という訴えの裏には、「仕事に集中できるようになりたい」「趣味のゴルフを楽しみたい」「見た目の姿勢を良くしたい」など、本当の願望があります。

表面的な症状だけでなく、患者の生活背景、仕事、趣味、価値観などを理解することで、より深いレベルでのニーズに応えることができます。

「この先生は私のことをわかってくれている」と感じてもらえれば、強い信頼関係が生まれ、長期的なリピートにつながります。

自院の強みを客観視する力

競合との差別化を図るためには、自院の強みを客観的に把握することが必要です。

自院の強みを見つけるための問いかけとして、「他院ではなく、なぜ自院を選んでくれたのか」「患者からよく言われる褒め言葉は何か」「自分が最も得意とする施術・対応は何か」「競合と比較して優れている点は何か」を考えてみましょう。

強みは、自分では当たり前と思っていることの中にあることが多いです。患者に直接聞いてみる、第三者に評価してもらうなど、客観的な視点を取り入れましょう。

強みを明確にしたら、それを言語化し、広告やホームページで発信することで、その強みを求める患者が集まりやすくなります。

自己研鑽を続ける姿勢

整骨院業界は常に変化しています。新しい技術、新しいマーケティング手法、制度の変更など、学び続けなければ取り残されてしまいます。

自己研鑽の方法として、技術セミナー・勉強会への参加、経営セミナー・マーケティング講座の受講、業界の最新情報のキャッチアップ、成功している同業者からの学び、異業種の成功事例からのヒント獲得があります。

「開業したらゴール」ではなく、「開業はスタート」です。常に学び、改善し続ける姿勢が、長期的な生存につながります。

予約のしやすさ・利便性の向上

患者の利便性を高めることも、選ばれる要因になります。

利便性向上のポイントとして、Web予約システムの導入(24時間予約可能に)、LINE予約の対応(気軽に予約できる)、営業時間の工夫(仕事帰りに通える夜間営業など)、待ち時間の短縮(予約制の徹底)、キャッシュレス決済の導入があります。

「通いやすい」「予約しやすい」という利便性は、リピート率に大きく影響します。患者目線で、どうすれば通いやすくなるかを考え、改善を続けましょう。


まとめ

整骨院の廃業率は正確なデータこそありませんが、倒産件数は増加傾向にあり、「開業から5年以内に約5割が廃業」という目安は業界でも広く認識されています。

廃業の主な原因は、競合の増加、保険収入の減少、ターゲット・コンセプトの不明確、立地選びの失敗、集客不足、資金計画の甘さです。これらに該当する整骨院は、廃業リスクが高いといえます。

生き残るためには、徹底的な商圏調査による立地選び、自費移行を前提とした差別化、Web・SNSを活用した集客の仕組み化、余裕を持った資金計画、リピーターを生む接遇力が重要です。

選ばれる整骨院になるためには、患者のニーズを見極める観察眼、自院の強みを客観視する力、自己研鑽を続ける姿勢、利便性の向上が求められます。

整骨院経営は確かに厳しい環境ですが、戦略的に取り組むことで生き残りの確率を高めることができます。本記事を参考に、廃業リスクを回避し、長く愛される整骨院を築いてください。


物療機器販売本舗では、整骨院の開業支援から経営改善まで、トータルでサポートしております。

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これから開業される方には、立地選定のアドバイス、初期投資の優先順位、資金計画の相談など、廃業リスクを減らすためのサポートをいたします。すでに開業されている方の経営改善もお手伝いします。

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