接骨院・整骨院を開業すると年収はいくら?収入アップのコツも解説
「接骨院を開業したら、どれくらいの年収が見込めるのだろうか」
——これは、独立開業を考える柔道整復師の多くが抱く疑問ではないでしょうか。
接骨院の経営環境は年々変化しており、保険請求の厳格化や競合の増加など、開業後の収入に影響する要因は多岐にわたります。
一方で、経営戦略次第では年収1,000万円以上を実現している院長も少なくありません。
本記事では、接骨院を開業した場合の平均年収から、年収を上げるための具体的なコツ、開業前に準備すべきことまで詳しく解説します。
これから開業を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
接骨院経営の現状
接骨院の開業を考える上で、まずは業界の現状を正しく理解することが重要です。
市場環境を把握した上で、現実的な収益計画を立てましょう。
柔道整復施術所の増加傾向
厚生労働省の統計によると、柔道整復施術所(接骨院・整骨院)の数は増加傾向が続いています。2022年時点で全国に約5万件以上の施術所があり、コンビニエンスストアの店舗数に匹敵するほどの数となっています。
この背景には、柔道整復師の養成校の増加による資格取得者の増加があります。毎年多くの柔道整復師が誕生し、その一部が独立開業するため、競合は年々増加しています。
特に都市部では、駅前や住宅街に複数の接骨院が密集しているエリアも珍しくありません。このような競争環境の中で安定した収益を上げるためには、差別化戦略が不可欠です。
保険請求の厳格化
接骨院経営に大きな影響を与えているのが、保険請求の厳格化です。かつては保険施術が接骨院の主な収入源でしたが、近年は審査が厳しくなり、保険請求だけに依存した経営は難しくなっています。
具体的には、負傷原因の明確化、施術部位数の制限、長期施術への審査強化などが進んでいます。不正請求への監視も強化されており、適正な保険請求を行うことが求められています。
この流れを受けて、多くの接骨院が自費施術メニューの導入や、保険外サービスの拡充に力を入れるようになっています。
廃業率の実態
接骨院の開業は比較的ハードルが低いといわれますが、その分廃業するケースも少なくありません。一般的に、開業から3年以内に廃業する接骨院は全体の約3割、5年以内では約5割に達するというデータもあります。
廃業の主な原因としては、集客不足、資金繰りの悪化、立地選定の失敗、経営知識の不足などが挙げられます。技術力があっても経営が成り立たないケースは珍しくなく、開業前の準備と経営スキルの習得が重要です。
接骨院を開業した場合の平均年収
接骨院を開業した場合の年収は、経営規模や運営方法によって大きく異なります。ここでは、経営形態別の平均的な年収をご紹介します。
1人で経営する場合
院長1人で経営する、いわゆる「1人院」の場合、平均年収は400万円〜600万円程度とされています。ただし、これはあくまで平均値であり、実際には200万円台から800万円以上まで大きな幅があります。
1人院のメリットは、人件費がかからないため利益率が高くなりやすい点です。月商100万円の場合、経費を差し引いた手取りは50万円〜60万円程度となり、年収600万円〜700万円が見込めます。
一方、施術できる患者数に限りがあるため、売上の上限も決まってきます。1日に施術できる患者数は、1人あたり30分として計算すると15〜20人程度が限界です。単価と患者数のバランスを考えた経営戦略が必要です。
従業員を雇って経営する場合
従業員(柔道整復師やスタッフ)を雇用して経営する場合、平均年収は500万円〜800万円程度となります。従業員の人数や売上規模によっては、1,000万円を超えるケースもあります。
従業員を雇うことで、施術できる患者数が増え、売上の上限が引き上がります。また、院長が施術以外の業務(経営管理、マーケティングなど)に時間を割けるようになり、事業拡大の可能性が広がります。
ただし、人件費という固定費が発生するため、一定の売上を維持しなければ赤字に転落するリスクもあります。従業員1人あたり月25万円〜35万円程度の人件費がかかることを想定して、損益分岐点を把握しておくことが重要です。
分院展開して経営する場合
複数の院を展開する「分院経営」の場合、年収1,000万円〜2,000万円以上を実現している経営者も少なくありません。成功すれば、雇われ時代の数倍の収入を得ることが可能です。
分院展開のメリットは、スケールメリットを活かせる点です。仕入れコストの削減、ブランド力の向上、リスク分散などが期待できます。また、院長を任せられる人材を育成できれば、自身は経営に専念することも可能です。
一方、分院展開には多額の資金と優秀な人材の確保が必要です。管理コストも増大するため、1院目で安定した経営基盤を築いてから検討することをお勧めします。
接骨院経営の平均的な利益率
接骨院経営の利益率を理解することで、目標年収を達成するために必要な売上が見えてきます。
一般的な接骨院の利益率は、売上の20〜40%程度とされています。つまり、月商100万円の場合、経費を差し引いた利益は20万円〜40万円となります。
主な経費の内訳は以下の通りです。
家賃は売上の10〜15%程度が目安です。立地によって大きく異なりますが、月商100万円の院であれば10万円〜15万円程度が適正とされています。
人件費は、従業員を雇う場合は売上の30〜40%程度を占めることが多いです。1人院の場合はこの経費がかかりません。
消耗品・材料費は売上の5〜10%程度です。テーピング、包帯、電気治療の消耗品などが含まれます。
広告宣伝費は売上の5〜10%程度を目安に確保することが望ましいです。集客が安定するまでは、より多くの投資が必要になる場合もあります。
その他、水道光熱費、通信費、リース料、保険料などで売上の10〜15%程度がかかります。
利益率を高めるためには、売上を伸ばすか、経費を削減するかのいずれかが必要です。特に、家賃と人件費は固定費として大きな割合を占めるため、開業時の計画段階で慎重に検討することが重要です。
接骨院開業で年収1,000万円は目指せるか
「年収1,000万円」は、多くの開業希望者が目標とする数字です。結論からいうと、接骨院開業で年収1,000万円を達成することは十分に可能です。ただし、すべての院が達成できるわけではなく、戦略的な経営が求められます。
年収1,000万円を達成するために必要な売上を逆算してみましょう。利益率を30%と仮定すると、年間利益1,000万円を得るためには、年商約3,300万円(月商約275万円)が必要です。利益率を40%まで高められれば、年商2,500万円(月商約210万円)で達成可能です。
月商200万円〜300万円は、1人院では現実的に難しい数字ですが、従業員を雇用して施術キャパシティを増やすか、自費施術で客単価を上げることで達成可能な範囲です。
実際に年収1,000万円以上を達成している院の特徴としては、自費施術の比率が高い、リピート率が高く安定した患者数を確保している、立地が良く集客に困っていない、効率的なオペレーションで生産性が高いなどが挙げられます。
年収1,000万円を目指すのであれば、開業前から明確な戦略を立て、数値目標を設定して経営に取り組むことが重要です。
接骨院開業後に年収を上げる2つのコツ
接骨院の年収を上げるためには、売上を増やすか、経費を削減するかの2つのアプローチがあります。ここでは、売上を増やすための具体的なコツをご紹介します。
自費診療メニューを導入する
年収アップの最も効果的な方法は、自費診療メニューの導入です。保険施術だけに頼った経営では、1回あたりの単価が500円〜1,500円程度に限られてしまいます。一方、自費施術であれば、1回3,000円〜10,000円以上の単価設定が可能です。
導入しやすい自費メニューとしては、以下のようなものがあります。
骨盤矯正・姿勢矯正は、デスクワーカーや産後の女性に人気のメニューです。1回4,000円〜8,000円程度の価格設定が一般的です。
ハイボルト治療は、急性の痛みに即効性があり、患者満足度が高い施術です。1回1,500円〜3,000円程度の追加料金を設定できます。
ラジオ波施術は、深部の筋肉や脂肪にアプローチでき、美容目的の需要も取り込めます。1回3,000円〜6,000円程度が相場です。
EMSトレーニングは、運動が苦手な方や高齢者向けのメニューとして人気です。1回2,000円〜4,000円程度で提供できます。
自費メニューを導入する際は、機器の導入コストと回収期間を計算し、収益性を事前に検証することが大切です。
集客・宣伝に力を入れる
どれだけ良い施術を提供しても、患者が来なければ収益は上がりません。集客・宣伝に継続的に投資することが、年収アップの重要なカギとなります。
新規顧客の獲得施策
新規患者を獲得するための施策としては、以下のようなものがあります。
Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)の最適化は、最も費用対効果の高い施策の一つです。口コミの獲得、写真の充実、投稿の定期更新などを行い、地域検索での上位表示を目指しましょう。
ホームページのSEO対策も重要です。「地域名+接骨院」「症状名+治療」などのキーワードで検索上位に表示されるよう、コンテンツを充実させましょう。
チラシ・ポスティングは、開業直後や認知度を高めたい時期に有効です。商圏内に定期的に配布することで、潜在患者へのアプローチができます。
SNS運用は、院の雰囲気や施術者の人柄を伝えるのに効果的です。InstagramやLINE公式アカウントを活用して、情報発信と予約導線を整備しましょう。
リピーター獲得の施策
新規患者の獲得も大切ですが、安定した経営にはリピーターの確保が不可欠です。新規患者の獲得コストはリピーターの5倍以上かかるといわれており、既存患者の継続率を高めることが収益安定の近道です。
リピート率を高める施策としては、次回予約の徹底があります。施術終了時に次回の予約を取ることで、離脱を防ぎます。
回数券・プリペイドカードの導入も効果的です。複数回の来院を前提とした料金体系を用意することで、継続来院を促進できます。
患者管理システムの活用により、来院が途絶えた患者へのフォロー連絡を行いましょう。DMやLINEでの再来院促進が有効です。
患者満足度の向上は最も基本的かつ重要な施策です。丁寧な施術、わかりやすい説明、清潔な院内環境など、当たり前のことを徹底することがリピートにつながります。
年収を高めるために開業前にすべきこと
開業後の年収は、開業前の準備で大きく左右されます。ここでは、開業前にすべき重要な準備をご紹介します。
集客しやすい立地を選ぶ
接骨院経営において、立地は成功を左右する最重要要素の一つです。いくら技術が優れていても、患者が来院しにくい場所では集客に苦戦します。
良い立地の条件としては、人通りが多い場所(駅前、商店街、幹線道路沿いなど)、視認性が高い1階路面店、駐車場が確保できる場所(地方の場合は必須)、ターゲット層が多く住むエリアなどが挙げられます。
家賃とのバランスも重要です。好立地は家賃も高くなるため、想定売上に対して適正な家賃かどうかを検討しましょう。一般的に、家賃は月商の10〜15%以内に抑えることが望ましいとされています。
コンセプト・ポジショニングを明確にする
競合が多い市場で選ばれる院になるためには、明確なコンセプトとポジショニングが必要です。「何でもできる接骨院」ではなく、「〇〇に強い接骨院」として差別化を図りましょう。
ポジショニングの例としては、スポーツ障害に特化した接骨院、産後の骨盤矯正専門院、高齢者向けのリハビリ特化型院、交通事故治療に強い接骨院などがあります。
ターゲットを絞ることで、その層に響くメッセージを発信でき、口コミも広がりやすくなります。また、専門性を打ち出すことで、自費施術の単価も上げやすくなります。
商圏調査を実施する
開業予定地の商圏調査は、事業の成否を予測する上で欠かせません。以下の項目を調査しましょう。
人口動態として、商圏内の人口、年齢構成、世帯数などを調べます。ターゲット層がどの程度存在するかを把握しましょう。
競合状況として、商圏内の接骨院・整骨院の数、それぞれの特徴、口コミ評価などを調査します。競合が多いエリアでは差別化戦略がより重要になります。
交通・アクセスとして、最寄り駅からの距離、バス路線、駐車場の有無などを確認します。患者がどのように来院するかをイメージしましょう。
周辺施設として、病院、スポーツジム、学校、企業など、患者を紹介してもらえる可能性のある施設を把握しておくと、開業後の連携に役立ちます。
事業計画を立てる
開業前に、しっかりとした事業計画を立てることが重要です。事業計画は、融資を受ける際に金融機関に提出する書類であると同時に、自身の経営指針としても機能します。
事業計画に含めるべき項目としては、事業の概要・コンセプト、市場分析・競合分析、ターゲット顧客、サービス内容・価格設定、マーケティング戦略、収支計画(売上予測、経費予測、利益予測)、資金計画(開業資金、運転資金、調達方法)などがあります。
特に収支計画は、楽観的なシナリオだけでなく、悲観的なシナリオも想定して作成しましょう。開業後すぐに患者が集まるとは限らないため、売上が計画の50〜70%程度でも運営できる資金計画を立てておくことが大切です。
開業資金を準備する
接骨院の開業には、一般的に500万円〜1,500万円程度の資金が必要とされています。主な内訳は以下の通りです。
物件取得費は、敷金・礼金・保証金・仲介手数料などで、家賃の6〜12ヶ月分程度が必要です。
内装工事費は、坪単価20万円〜40万円程度が相場です。20坪の院であれば400万円〜800万円程度かかります。
医療機器・設備費は、ベッド、治療機器、備品などで200万円〜500万円程度が必要です。
運転資金は、開業後の売上が安定するまでの資金として、最低でも6ヶ月分(200万円〜300万円)は確保しておきましょう。
資金調達の方法としては、自己資金、日本政策金融公庫の融資、銀行・信用金庫の融資、親族からの借入などがあります。自己資金は開業資金の3分の1程度は用意することが望ましいとされています。
接骨院開業と年収に関するよくある質問
接骨院の開業と年収に関して、よく寄せられる質問にお答えします。
雇われ柔道整復師の平均年収はいくら?
雇われ柔道整復師の平均年収は、300万円〜450万円程度とされています。経験年数や勤務先によって異なりますが、新卒で250万円〜300万円、経験5年程度で350万円〜400万円、院長クラスで450万円〜550万円程度が目安です。
開業すれば、雇われ時代より年収が上がる可能性はありますが、経営が軌道に乗るまでは逆に下がることもあります。開業1〜2年目は年収300万円〜400万円程度を覚悟しておくべきでしょう。
ただし、経営が安定すれば雇われ時代の1.5倍〜3倍以上の年収を得ることも可能です。リスクを取る分、リターンも大きいのが開業の特徴です。
年収アップのために取得すべき資格はある?
柔道整復師の資格に加えて、以下のような資格を取得することで、提供できるサービスの幅が広がり、年収アップにつながる可能性があります。
鍼灸師(はり師・きゅう師)は、柔道整復師とのダブルライセンスを持つことで、鍼灸施術も提供できるようになります。保険施術の幅が広がり、自費メニューも増やせます。
あん摩マッサージ指圧師は、マッサージを保険適用で行えるようになります。訪問マッサージなど、新たな事業展開も可能になります。
機能訓練指導員は、介護保険サービスの機能訓練指導員として働くことができます。デイサービスとの連携や、介護分野への展開が可能になります。
その他、各種民間資格(スポーツトレーナー、骨盤矯正、美容整体など)を取得することで、自費メニューの説得力が増し、単価アップにつながることもあります。
経営コストを抑えるポイントは?
年収を上げるためには、売上を伸ばすだけでなく、経営コストを抑えることも重要です。以下のポイントを意識しましょう。
家賃の見直しは最もインパクトが大きいです。開業時の立地選定で適正な家賃の物件を選ぶことはもちろん、開業後も契約更新時に交渉することで削減できる場合があります。
治療機器のリース活用により、初期費用を抑えながら最新機器を導入できます。リースと購入のどちらが有利かは、使用期間や資金状況によって異なるため、シミュレーションして判断しましょう。
消耗品の仕入れ先を見直すことで、同じ品質でもより安く仕入れられる業者が見つかることがあります。定期的に見積もりを取り、コストダウンを図りましょう。
業務効率化により、予約システムの導入、会計ソフトの活用、レセプト業務の効率化などで、事務作業の時間を削減し、施術に集中できる環境を整えましょう。
まとめ
接骨院を開業した場合の年収は、経営形態によって大きく異なります。
1人院で400万円〜600万円、従業員を雇う場合で500万円〜800万円、分院展開では1,000万円以上も十分に可能です。
年収を上げるためには、自費診療メニューの導入と集客・宣伝への投資が重要です。
また、開業前の準備(立地選定、コンセプト設計、商圏調査、事業計画、資金準備)が開業後の収益を大きく左右します。
接骨院経営は競争が激化していますが、戦略的な経営を行えば、雇われ時代よりも大きな収入を得ることができます。
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